お隣が火事!!

昨夜8時半頃でした。風呂から上がって、中1の次男に「早く風呂に入れ!」と急かしていたら、風呂場に向かおうとした次男が、「お父さん、なんだか変。焦げ臭いよ。」

それで、4階裏中庭のドアを開けて外に出てみましたら、なんとなく、うっすら霧がかかったように白くなっています。「だれだ、こんな夜にたき火をしたのは?」と思って、臭いの元を探しましたが見つかりません。中庭から4階裏駐車場に回ってみると、北のほうからかなりの勢いで白い煙が流れてきます。胸騒ぎを覚えつつ、風上へ走り出しました。すると…。北隣のUさん(80歳)宅の1階裏側から煙がもうもうと上がっているはありませんか!窓の内側はオレンジ色の炎が揺らめいています。「火事だあっ!!」びっくりした私は大声で叫びながら走り出しました。しかし、まだ誰も気付かない。窓を開ける人もいない。私の声を酔っぱらいの大声くらいに思っているのでしょう。

 「とにかく通報だ」そう思って、とって返し、教会から119番へ電話。「御船蔵の天理教です。うちと、北隣のヤンマーさんの間の民家が火事です」そう伝えると、また外へ走り出ました。
とにかく、あらんかぎりの声を振り絞って「火事〜!Uさんちが火事ですぅ!」と叫びながら、坂道を駆け下りて表通りを目指しました。この坂道はうちの4階裏駐車場からUさん宅裏側を通って北からS字カーブを描いて表通りへ下る坂道で、ヤンマービルもUさん宅もこのカーブの内側に建っているのです。
ヤンマーの前までくると、Uさんの奥さんが呆然と立っています。「奥さん、奥さん、あんたん方から火の出よるばい!」「電話するとけど、誰も出らんと」「電話なら、おいがしたけん。消防車のすぐに来るけん。で、ご主人はどこね?」「まだ、家ン中におります」
こんな会話だったと思うが、とにかく二人で家の正面玄関に走り出す。玄関は、煙が吹き出し、とても入れない状態。「ご主人!ご主人!」と呼ぶと「はーい」とか細い声がした。玄関より半間ほど右手のサッシの奥から聞こえてくる。エアコンの室外機越しにサッシを取り外し、室外機を乗り越えて部屋の中に入る。とたんに、目の前が真っ暗に。部屋の中は黒い煙が充満し、電気もついていない。吹き寄せる煙のものすごいこと。こんなところに居たら、3分も持たない…そう思いながら「ご主人1ご主人!」と叫びながら手探りで前へ。2メートルくらい奥で手が何か硬い物に当たった、その先には人間の肩が。Uさんは、椅子か何かに仰向けになったままそこにおられた。「出らんば!動かんば!!」そう叫んでも彼はピクリとも動かない。後で分かったのだが、足腰が弱くなっておられて奥さんの介助なしには歩けなくなっておられたのです。

とっさの判断で、両肩の下に私の両腕を入れ、羽交い締めのような姿勢で力任せに引っ張り出しました。すごく重かったのですが、火事場の馬鹿力というのでしょうか。椅子の背もたれのようなものを乗り越えて引きずり出し、勢い余って室外機を二人で押し倒して外へ転がりでました。Uさんは、相当煙を吸い込んでおられる様子。頭にもやけどを少ししておられるようでした。
安全な場所へ彼を避難させたころに、ようやく消防車が到着。消火活動が始まりました。家は半焼しましたが、Uさんご夫婦の命に別状がなくて本当に良かったです。あのとき、次男が「焦げ臭いよ」と言わなかったら、と思うとぞっとします。あと5分遅かったら、家は全焼、Uさんは焼死していたことと思います。

消火活動の最中、野次馬が続々と集まってきたころに、御礼のおつとめをつとめさせていただきました。
火事はこわいです。煙の怖さも身をもって味わいました。
最近、市内各所で火事が起こっていますので、みなさん十分火の元に注意してください。